中央大学杉並高等学校

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法学論文ゼミ・橋本教授の講評会

1月27日、土曜講座「法学論文ゼミ」で執筆に挑戦した17名が、橋本基弘先生(憲法学)のもとを訪れ、 中央大学法学部(茗荷谷キャンパス)にて講評会を開催していただきました。

この「法学論文ゼミ」は法学部に進学した卒業生達の「高校生のうちからもっと法学に親しむ機会があるとよい」という声から実現した講座です。今年で3年目になりますが、1~3年生までの意欲的な生徒が参加し、真剣に取り組みました。

この講座では橋本先生からの出題に対し、憲法や判例を調べて合憲か違憲かを検討し、自分なりに導いた考察を文章化します。法学的な思考の巡らせ方や論文の書き方は、本校出身の法学部生・法科大学院生・弁護士にご指導いただきました。高校生と歳の近い卒業生に、気さくに相談に乗ってもらっていました。

今回は、学歴社会や貧困による格差解消について想いを巡らせる出題でした。「そもそも学校の評定の付け方を考え直すべきではないか」「入学を優遇することが不平等の解消になると言えるのだろうか」等、それぞれが自身の経験や最近のニュースを想起しながら考えつくし、論文を仕上げました。個人で取り組む者もチームで取り組む者もいましたが、開講3年目にして初めて、全員が論文を完成させることができました。

橋本先生からは、論題の解説と共に、一人一人に具体的なご講評をいただきました。「先生だったらどのような結論にしますか?」等の質問も出て、先生の答えを真剣に聴いていました。講義終了後は、今年できたばかりの茗荷谷キャンパスを案内いただき、関係者のみが入れる上階も見学することができました。

新しい都心のキャンパスで先生のご講義と激励のお言葉を聴け、益々勉学に励む意欲が湧いたようです。

橋本先生、アドバイザーとなってくださった卒業生の皆様、ありがとうございました。

橋本教授からの出題
優秀賞・Uさん論文
次点・Kさん論文

*受講生の感想より*

・最初は論文をしっかり書き切れるか不安だったけれど、先輩のお話や資料を通して、自分のお題に対する考えが少しずつ深まっていき、自分の考えを論文に示していく作業がとても楽しかった。相手に伝わるように明確に詳細に書かなくてはいけなくて大変だったけれど、先輩方が「その言い方だと誤解されちゃうかも。」、「こっちから考えてみるとどうかな?」など、詳しく、いろんな視点から教えてくれるので、間違いを見つけていくのもまた楽しかった。私は、法律よりもその大元となる憲法に興味があったので、憲法に関わった深い所まで触れられてとても面白かったし、改めて「法の下の平等」ってなんなんだろう?ともの凄く考えを深める時間を過ごせて、本当に受講して良かった。三年生で卒業論文を書くのがとても楽しみになった。半年間、本当に楽しかったし、勉強になりました。論文で使った順序立てた考え方を日常生活でも活かしたいです!(1年)

・A大学の入試要項が合憲か違憲か、Cの慰謝料の請求は認められるのかについて考えた。特に審査基準、関連する憲法、判例などの法学的な知識を講座内でご教授いただけたことにより、論文を執筆する上でどのように考えればいいかの方向性を見出すことができたと思う。規範を示し、実際にあった事実を示したうえで結論を出す三段論法の考え方も今後法学的な問題に触れた際に、自身の考え方を形成する上で活かしていけるのではないかと思った。
 自身が構成を練る中で、「A大学に入学する権利/別枠で合否判定を受ける権利」というものを重要な権利とみなすかは迷ったポイントだ。最終的には、必ずA大学に行く必要性はないこと、合格することを100%保証したものではないことから重要性は低いと判断するに至った。
 構成を練ってからは、再検討を重ねながら文章化まで問題なくできた。自分の考え方を形成していく上でも、文章を書く上でも構成を考えることの大切さも感じることができた。
 他の人の論文を読んでみるのも面白かった。特に印象に残っているものを一つ挙げるなら、入試要項①の代替手段の違いだ。学費負担者の年間所得が低い人を救済するために、奨学金制度の利用、入学後の支援といった「入試制度の改善」以外の視点での考え方があったことだ。「入試制度の改善」から格差を是正する代替手段を自分は提起したが、それ以外の視点に触れられたことは自分にとって新たな発見だった。
 これまで持っていなかった新しい法学的な視点で考えることができた。とてもいい経験になったと思っている。(2年)

・法を学ぶ意味について、橋本先生が知識を「眼鏡のようなもの」と表現していたことが印象に残りました。日常における不明瞭なことを、法を学ぶことで明瞭にしていくという意識は、法学部に進学し法を学ぶ上で重要になると思いました。(3年)