中央大学杉並高等学校

TOPICSトピックス

中央大学との連携講座 法学論文ゼミ実施

憲法学がご専門の、中央大学法学部教授(中央大学副学長)・橋本基弘先生にお題を出していただき、本校の1・2年生有志13名が法学論文執筆に挑戦しました。

お題は
①ヘイトスピーチに関するもの
②東京オリンピックに関するもの

です。それぞれが一つ選択し、どんなことが言えるかを論理立てて文章にしました。

PDF【橋本先生出題】
生徒の書いた論文はこちら(2例)

PDF【ヘイトスピーチ】

PDF【東京オリンピック】

中大出身のロースクールの方や司法修習生の方がアドバイザーとなって励ましてくださり、夏から着手して11月に書き上げ、12月22日に橋本先生のもとへ訪れることができました。多摩キャンパスの新施設「FOREST GATEWAY CHUO」で先生の講義を受け、新たな視点も得ることができました。先生からは「法学部で要求されるレベルを既に満たしている」「このまま判決文になるような出来栄え」と評していただいた論文もあり、それぞれの頑張りを称えていただきました。

判例に目を通したり、憲法学の本を読んだりと、生徒にとっては何もかも初めての経験でしたが、法学がぐっと身近に感じられる機会となりました。

参加生徒の感想
◎今までは、法学と聞くと、決まった型に当てはめるような少し堅苦しい学問のイメージがありましたが、今回実際に論文を書いてみたり、橋本先生のお話を聞いたりして、想像力や課題発見能力が大事であることに気づき、法学部に対するイメージが変わりました。
また、様々な面から物事を考える際には、様々な知識が必要になるため、高校で様々なことを満遍なく学ぶという経験が役に立つと聞き、少し勉強のモチベーションに繋がりました。難しかったですが、参加して良かったです。(1 年)

◎元々あまり法学部に興味はなく、私は文章を書くことが苦手なので、3年生で書く論文の練習になれば良いな、程度の軽い気持ちで思い申し込みました。
案の定、論文を書くのにはとても苦労しましたが友人と協力しながら進め、試行錯誤しながら取り組みました。中学校まで学んできた内容や高校生になってからの政治・経済の授業で内容したことを実際に活用して現代社会の問題を考えていくことは非常に面白く、このゼミに参加して良かったと思えるようになりました。
橋本先生の解説は非常に分かりやすくてためになる話ばかりでした。今回の講義を聞いて少し法学部に興味を持つようになりました。特に、最後の方に先生がアドバイスしてくださった「小説を読む」ことはこの先の人生でも続けようと思いました。大学生になるまでに少しでも文章力を向上できるよう頑張ります。(1年)

◎このゼミは正直とても難しかったです。書式も知識もなく、本当に 0 からのスタートで場合分けをしても何回も却下されて、友達ともぶつかり合って苦しかったですが、なんとか書き上げることができて良かったです。さらにそれを橋本先生に褒めて頂き、とても嬉しかったです。
また先生の講義は単純明快で分かりやすくて面白く、大学のゼミの雰囲気を体験することができ、これから進路を決めていく判断材料になり、今回のゼミを申し込んで本当に良かったと思いました。
何回も質問してそのたびに解説やヒントをくれたアドバイザーの皆さん、そして橋本先生、本当にありがとうございました。(2 年)

◎私は来年の卒業論文にも生かせると思い参加しましたが、それ以上に学ぶことが多いゼミでした。初めは「ヘイトスピーチが許されるわけがない」という思いから、A の訴えは認められないに決まっていると考えていました。しかし深く勉強していくと、日本国憲法の21条で「集会の自由」が保障されていることを知り、A のホール使用に対する不許可処分は、A の「集会の自由」を侵害するものではないかという見方があるということを学びました。
また、A の行ってきた活動に対しては、「公共の福祉」のための目的があると解釈できないこともないと気づきました。だからといって無条件にA の訴えが認められるというわけではなく、例えば、「暴動が怒る可能性が高い場合は、B の下した不許可処分は合憲である」ことなど、ケースごとに異なる判断が生じます。法学に当てはめて考えるとき、一つの事例から生じる可能性は無限にあって、そのケースによって判断が変わってくるというのがとても興味深かったです。
広い視野(今回なら A の立場に立ってみる)を持って問題を見つめてみると、自分の常識や固定観念に縛られていては絶対に気づけない考えがたくさん見えてきて、立場が違うだけでこんなにも問題の見え方や主張が変わってくるのだという面白さと、発見につながりました。
今回のゼミを受けて、社会に存在する問題に対して一方の視点のみから考えるのではなく、あらゆる可能性を考えてみる力の大切さを実感しました。これは論文を書くことにとどまらず、社会に出てからも役立つ力だと思うので、さらに伸ばしていけるように努めたいです。(2年)